《MUMEI》

『アナタが…朱里が
僕を残して…居なく
なるなんて言うから
…』

ーー私亡き後、白を
この国へお返ししま
すーー

『白…』

…あぁ、そうか、そ
うだね…

朱里は、置いてきぼ
りにされた仔犬の様
な、自分より大きな
白の身体を抱きしめ
た。

『あぁ、白ごめんね
私が悪かったよ。』

…いつか来るであろ
う未来だからこそ…
今を、この時をアナ
タと共に生きて行き
たい。

だから、アナタを失
うなんて今は考えた
くないんだ。

それは僕の我が儘か
も知れないけれど。

『朱里、二度とあん
なコト言わないで?
お願い。』

朱里の両頬を掌で包
み込んで、軽く屈み
顔を寄せる白。

『白…んっ…』

返事を返す間も無く
唇を重ねられて…

『ん、はっ…はぁ…
んっ…』

何度も角度を変えて
重なる唇が離された
時、朱里は立って居
られず白の広い胸に
凭かかっていた。

『…白』

朱里の声色が艶を帯
びて響く。

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