《MUMEI》

.



「な、にを…?」
俺は咳と動揺とで掠れた声で訊いた

隆之は携帯をウインドブレイカーのポケットから出し

開いて画面を確認して

「…来いよ」

またポケットにしまい込んでから俺の手首を引いて用具庫を


ボロい体育館を、

出た







体育館の外は三方に五〜六段の階段がある


隆之は俺の手を引いたまま
右側の階段を降りたとこにある死角に入って




ようやく手を放して

また携帯を開いた


「なあ」

俺は何やら操作してる隆之の横顔に

「何を《知ってる》んだ?」


さっきの疑問をぶつけた



隆之はちょうど

ムービーを探し終えたらしく



「…あった」


俺は声を荒げた

「隆之!」

「わかってるって!言えば良いんだろ!?」



隆之は溜め息を吐いた


「俺が知ってんのは…。…お前らがそういう関係だってこと」


「…は?」

一瞬


頭ん中がパンクしそうな感覚がした

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