《MUMEI》
思わぬモーニングボイス
小鳥のさえずりと共に、今宵の耳に心地よい声が入ってくる。

「こー。起きな」

この声の主によって今宵の肩が揺すられる。

んー・・・・・・うるさい・・・・・・。

「もうちょっと〜」

今宵はボソッと呟くと再び深く布団に潜る。

肩の揺すり方が激しくなる。

「あんたのはもうちょっとじゃないでしょ。ほら早く」

「お母さんしつこいー!!」

「はぁ。いつ見ても寝起き悪い」

今宵が寝返りをうとうとしたとき、急に腕が引っ張られる。

「う〜?」

「何寝ぼけてんの」

今宵は虚ろ眼のまま真正面ある顔を見る。

お母さんじゃないの〜?

段々目が開いてくると、思わず目をごしごしと手でこする。

「ふ、歩雪くん!!」

「やっと起きた。おはよ」

「おはよう。・・・・・・じゃなくて!!なんでここにいんの!?」

今宵の目の前には紛れも無く歩雪の姿があった。

思いっきり寝ぼけてたし!!

恥ずかしい!!!

今宵が赤くなった顔を両手で覆うと、歩雪は呆れたように答えた。

「こーのことだから今日のこと忘れてると思って」

「今日のこと・・・・・・っは!!遊園地!!!」

アホだ〜!!

昨日行く気満々だったのに、昨日と一昨日早起きしたから・・・・・・。

「まったく。慣れない早起きなんかするから」

「うわ!!何で考えてたこと分かったの!?」

「何年一緒にいると思ってんの?それより早く着替えて。遅れるとあいつら煩そうだから」

「そうだった!!ごめん歩雪くん!!先行ってて!!!」

歩雪は溜息をつくと、今宵の部屋から出て行った。

パタンっと扉の閉まる音が響く。

「起こされてこんなにビックリしたの初めてかも・・・・・・って早く着替え!!準備!!」

今宵は慌ててベットから飛び起きると、クローゼットをあさり始めた。

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