《MUMEI》

いつも、頭に爆弾が埋まっているようだった。
時限装置が付いていて、時間になると爆発する仕掛けになっている。

俺は謔て導火線を短くする。
単純なもので、俺はこの纖かな媚態を眺めて心を鎮めてた。
カメラの先の光は禁欲的でかえって煽るような色気を含んでいる。

愛おしい死で、肉欲は自分への罰とさえ考えていたのに、俺は甘えたくなるのだ。
光はどうなのだろうか、好きだから愛してるからだけの肉体関係なのか。

もっと深い言葉は無いのか……?



「やだ……いやらしい。」

棗さんが横目で呟いた。
棗さんの立ち上げたブランドの広告のために二人、光の撮影を見守っていたつもりなのだが。


「マネージャーの仕事を熟しているだけです。」


「何人それで誑かしたのやら……うちのスタッフに手を出さないでよ。」


「大丈夫ですよ。棗さんのような綺麗な恋人が居ますから。」


「お世辞は嫌い。」

そのわりにまんざらでもない顔をしているが。
光が一瞬だけ、冷たい眼差しを送ってきた。
遠くても雰囲気で察してしまうようだ。

笑顔で手を振ってやる。


「……ねえ、光ちゃんに渡さないといけないものがあるの。」

棗さんはマネージャーを通しての話を所望した。

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