《MUMEI》
ショッピングモールにて
鳳凰寺修治視点


「ねーこれ、似合う?」

「あぁ」

「これはー?」

「似合う」

「嬉しいなー」


まるで恋人同士のようなやりとりをする


俺と、歩


誠と別れた俺達は、とりあえず一番大きな施設に入る事にした


そこで、お互いの相手を撒くつもりだったが


予想以上に女が多く


俺の動きが制限されたせいで、追い付かれてしまった


なので


歩と二人だけの甘い雰囲気を作り


誰も、近付けないようにした


「お昼は、レストラン街で食べようね」

「あぁ」

「高橋君達もいるかもね」

「あぁ」


というか、確実に、いるだろう


この街で、食事ができる店は、あとカラオケ位だし


ここまで来ておいて


スーパーやコンビニはあり得ない


「いなかったら、一人でカラオケ行ってるかもね」

「じゃあ、いなかったら、食べたら行ってみるか。からかいに」

「Sだねー修治」

「歩も、いい性格してると思うぞ」

「えー、僕は優しいよー、男子限定で」

「そうだな」


そして、俺達はずっと二人の世界を作り続け


ずっと、相手を拒絶し続けた

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