《MUMEI》
ショッピングモールにて2
鈴木 虎之介視点


全力疾走する誠に


竜野さんにしがみつかれた俺が、ついていけるはずがなく


…見失ってしまった


「ハア」


誠、どこに行ったんだろう…


変態に捕まってないかな


「ハア」

「虎之介、ため息ばっかり」

「あ、ごめん」

「せっかく二人きりになれたのに…」


二人きりなら、誠の方が良かったな


…なんて、言えない


大体、俺はノーマルなんだから、可愛い女の子と二人きりのこの状況を楽しまなきゃいけないのに!


「ハア」

「もう!」

「ごめん」


考えてみたら俺


竜野さん、怒らせてばっかりだ


「じゃあ、洋服買うの手伝って」

「う、うん」


そのくらい、しなきゃな


「その後、レストラン街行きましょうね。

高橋君、いるかもしれないし」

「…うん」


いい子だな、竜野さん


その後鳳凰寺や相楽


その相手には会ったが


結局、誠に会う事はできなかった

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