貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
彼を探して
いつからこんなにくだらない世の中になってしまったのか。ありきたりなセリフだが、今の僕にはとてもお似合いだ。流れ行く人々も、今の僕にはとてもお似合いだ。
何を失っても、誰を死なせても、あの人だけはそばに居てほしかったのに。あの人は僕の前から姿を消して、戻らない。
僕は廃れている。
そんな僕にはとてもお似合いな言葉だと思う。
雑踏を避けて歩く僕の目に見覚えのある紅いマフラーと、それに合わせたのか合わされたのか、同じく紅いピアスが光る。間違いない。彼だ。
「明人!」
呼びかけに応じない。こんな騒音に居ては、当たり前か。『ならば』と追いかけて行く。少しして追い抜いた。ほんの少し距離を横にとったのは、久しぶりの緊張を拭うためと、彼でなかったときを想定してのこと。
「………………。」
どうやら明人ではない。明人はやはりこの街には居ないのか。こんなに探しているのに。もう三ヶ月だ。同じ街だけではなく隣の都市にまで足を運んだが、無意味だった。一人では不可能と分かっていても、星の数ほど居る人の中からたった一人を探さずにはいられなかった。『逢いたい』の一心で動いていた。
「もう一度逢いたい。明人。」

彼は「阿部明人」三ヶ月前ま

次へ

作品目次へ
無銘の作品を探す
無銘文庫TOPへ