《MUMEI》
土曜日昼
黒崎明雅視点


病んでる三人が待ち望んでいる人間


高橋誠から、連絡が入ったのは、丁度昼食を終えた頃だった


頼むから、ドタキャンだけはやめてくれよ…


祈りながら、通話ボタンを押した


「はい」

『あ、黒崎先生ですか? 高橋ですけど』

「どうしました?」

『あの、今日の事なんですが…』


ゴクリ


思わず喉が鳴ってしまった


『迎え、いいですから』


…冷や汗が、流れた


この場には、幹部三人がいる


「どうして、ですか?」


小声で、恐る恐る確認してみた


『あの、実は、そっちまで送ってくれる人がいるんで』

「へ?」


思わず、間抜けな声が出てしまった


私らしくない態度に、周りが注目するのがわかったが、今は、高橋君の話に集中する


『雷門先生って、わかります?』

「あぁ、はい」


名前は知ってる


確か、高等部の保健医だ


『その先生が、送ってくれるんで』

「知り合いなんですか?」

『まぁ、一応』


気になる…


しかし


「とにかく、来るんですよね」

『はい』


今はそれだけで、十分だった

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫