《MUMEI》
相談 (続き)
  
「先生…」

 克哉君は僕を睨み続けながら、ギュッと拳を握りしめていた。

(こ…恐いよι)

 殴りかかってくるワケじゃないだろうけど…威圧感満載のそのカンジはどうかならないもんかな…。


 徐々に彼との距離が縮まってきて…。

(…って、あれ?)

 気が付くと克哉君が僕の方へ近づいてきてきていた。


”顔が小さいから気付かなかったぞ〜”……なんて。

 言おうかと思っている間に、僕らの間は普通ではありえなくらいの距離に接近していた。

「ちょ…克哉君ι」

 足の間に克哉君の長い足が滑り込んできて僕はそれから逃げようとして後ろに下がるも、机が邪魔をして克哉君と身体がぴったり密着する。

(えっ…えぇ…ど…どうしたらいいんだ///)

 満員電車でもないのに、人とこんなに身体を密着させている…。

 そんな事態に慣れていない僕の身体は緊張で固まってしまい、目の前にある顔が誰のものかも認識出来ないくらい心臓がバクバクしてきた。


 目に前に…綺麗な顔がある。

(ぁー…そういう事…か…)

 克哉君の言っていた”好きな人”って。

 もしかしたら…。


「……ぅ///」

 彼の吐息がかかるくらい近くに彼の顔がある…。

 意識がぼんやりとして目を閉じるか閉じないかぐらいの、ふと彼の高い鼻が僕の顔に触れた。

 その瞬間、僕は”はっ”と正気を取り戻すと、胸が”ドキン”と激しく鼓動を打った。

「あっ…ぅわぁ///」
「!!」

ガンッ!ガタン!

 驚いた拍子に机の上に置いていた手が汗で滑り、その勢いで机の角に身体をぶつけると、運動神経の悪い僕は受け身も取れずにそのまま転がり落ちてしまっていた。

「ッ…ι」
「ゎ…おぃ、先生!?」

 メガネも飛んでしまうくらい床に勢いよく倒れ込んでしまって、それに僕は気が動転してすぐに起きあがろうと身体を動かした。

 その瞬間身体中にビリビリと鈍い痛みが走って、身体の右側がもの凄く熱くなった。

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