《MUMEI》

「ぁ…うっ///!!」
「大丈夫か!?」
「ッあ…///」

 克哉君が心配そうに僕の顔を覗き込んでいるみたいだったけど…僕はメガネのせいかそれとも泣いているのか視界がぼやけていて、彼がどんな表情をしているのかは伺い知れなかった。

「…ッ…熱い///」
「ぇ…こ…ここか?」

 彼は心配そうに僕を優しく抱き起こすと、腕をさすってくれた。

「あぅッι///」

 その手が僕の手首に触れた瞬間、そこを中心に鈍い痛みが走ってだんだん冷や汗が出てきた。

「ぁ痛たたッ…い…ッι///」
「ぅあ、やっぱり手首だな…動かすなよ!」
「ぅ…///」

 どうやら転んだ時に下手に利き手の方をついてしまったらしい。

 どこまでバカなんだ…僕は…。


 克哉君は棚から腕を固定する板と幅のある包帯で僕の指示を聞きながら腕を借り止めをしてくれると、軽々と僕をベッドに運んでくれた。

「待ってろよ、すぐ帰ってくるからな!」
「…ぅ…んι」

 そう言うと克哉君は誰か他の先生を呼びに行ってくれた。

(…そこの内線で…呼べばいいんだけどなι)

でも、こんな状況なのに…そんな一生懸命になってくれている彼を見ていると微笑ましくもあった。

 先生になって…良かったな。


 ところでコレ…。

 ……労災…おりるのかなι

  

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