《MUMEI》 ―くそっ、この部屋とアイツの顔見てると…嫌なことしか…― 瀧にとっては五歳から預けられたラボは恐怖の対象だった。 千影が所長になり、ラボから正式に出されたのは約10年前、それまでの10年の月日実験と戦うための教育は繰り返し行われた。 「…き、瀧?」 はっ、と我に帰ると、自分を心配そうに見上げる綾乃がいた。 「あ、いや、何でもねーよ。」 「嘘、顔色悪いよ?」 「へーきへーき。」 そう言いながら綾乃の頭をポンポンと叩く。 「なんだ、流石に手が早いな、もう落としたのか?」 茶化すように言うベリアに 「違うっつーの!」 「違うわよっ!」 同時に否定した二人を可笑しそうに見つめていたが、 「さて、では瀧には退場してもらおうか?なぁに、今日は軽い検査だ心配するな。」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |