《MUMEI》

「え、マジで!?」


「あぁ、何でも所長に話があるらしい。」


「話し?」


「火急の用件だ、いい話ではないだろうな。」


「……絶体おかしな事すんなよ…。」


「わかっている。おら、とっとと行け。」




瀧を見送るベリアの紫紺の目には憐れみとも写る光が宿っていた。


「そう、火急の用件だ、……ともすれば…。」


そこで口をつぐむとモニターに写る綾乃に呼び掛けた。


「さぁ、そろそろ始めるぞ。」


「はぁい、お願いします!」

「あぁ、よろしく。」


そうして再び口許に笑みを浮かべた。

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