《MUMEI》 「わああ、なんて広いお家。」 敷地内に飛行機が停まり、尚且つ車で家に着くように移動だなんて……。 千秋様は僕等より先に移動している。 「渡部って、よくついて来たよな……」 螢さんは隣の志雄君を気にしている。 「千秋様ったら……ふふ……」 志雄君の顔にはストッキングが被らされていた。 でも、なんだか楽しそうだ。 「まあ……いいけど。」 「良くない……全く良くないぞ……」 螢さんにの独り言を拾い、楠先生はみるみる土気色になってゆく。 「ちょっ……運転手さん窓開けてください!」 楠先生はエチケット袋の代わりに自分のウエストポーチに吐き出し、それを見た螢さんはもらいゲロをしていた。 「……鍛練が足りないんだ」 志雄君は鍛えているからストッキングなのかな……? 豪邸は後ろも広い……後ろも……あれ? 通り過ぎてゆく。 「ペットと飼い主の家は分けるものだ。」 あの豪邸は千秋様達の専用の家らしい、あ家族水入らずだもの、邪魔してはいけない。 に、してもこの僕等の停まる屋敷は…… 「……幽霊が住んでそう。」 螢さんの言う通りだ。 そんな古い作りでもないのに妙なかんじがする。 楠先生は卒倒しているし、暗い影の落ちている屋敷だ。 前へ |次へ |
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