《MUMEI》

『朱里、その笑顔』

反則だ、と思う位、
今まで見た中で一番
綺麗な笑顔だと白は
思う。

その笑顔に吸い寄せ
られる様に白が朱里
に近付く。


『朱里…僕、その…
ごめんなさい。朱里
の身体のコト思いや
れ無くて…ね、辛い
?』

白は泣きそうな顔で
朱里の手を取って聞
いた。

朱里は白の質問に笑
顔で返した。

[白、大丈夫です]

掠れた声で小さく呟
いた。


[この身体に残る怠
さや痛みにも、君の
愛を感じているから
…謝らないで?]


『…朱里。』

白が朱里の額にキス
を一つ落とす。


ユウリとショウは、
自分達の存在を忘れ
二人っきりの世界に
入った朱里と白に気
付かれ無い様にソッ
と部屋を出た。


ドアを閉めたショウ
とユウリが同時に苦
笑した。

『熱々ですね〜』

『ですね。』

『今夜は大丈夫です
かね〜』

『さあ、でも朱里も
満更でもなさそうだ
ったし、大丈夫でし
ょう?』

『ですね〜余計なお
世話ですよね〜』

『『クスクス』』

二人の気の抜けた会
話と笑い声は段々と
遠ざかり小さくなっ
ていった。

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