《MUMEI》

訪れた珍客の姿を見て、マカはイスを蹴って立ち上がった。

「お前はっ…!」

「おや、あなたは確かミナさんの親友のマカさん。ご無沙汰しています。あの日以来、お越しにならないので、心配していましたよ」

以前、マカが親友のミナに連れられ、訪れたアンティークショップの店主・カガミだった。

しかしカガミの扱う商品の全てが人間で出来ている。

そのことに気付いたマカは、ミナに二度と店には行かないように言った。

どうやらミナはちゃんと言いつけを守ったようだ。

「カガミ、と言ったか。何しにこの店に訪れた?」

「もちろん、客として、ですよ。少々わたしの手には負えかねないモノを寄越されましてね。ここのお店に引き取ってもらえないかと、やってきた次第でして」

そこでようやく、ソウマが立ち上がった。

「そうでしたか。ご挨拶が遅れてすみません。私がこの店の店主で、ソウマと申します」

「カガミと申します。お初にお目にかかります」

お互い笑顔で頭を下げる。

「どうやら持ち込みのようですね。こちらのカウンターへどうぞ」

「はい」

マカは2人の後ろ姿を見ながら、再びイスに腰を下ろした。

カガミはこの店に入る条件を満たした。

それはすなわち、マカが口を出せる領分では無いと言うことだ。

マカは血族の長の後継者だが、口を出せるところと出せないところがある。

ソウマの店に関しては、口を出せない部分が多い。

…もっとも、文句はしょっちゅう言っているが。

カガミが持っているのは、80センチほどの洋風の木箱だ。

木箱には紋様が描かれており、その模様にマカは見覚えがあった。

「アレは…」

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