《MUMEI》

「ほう。呪いがかけられていますね」

「ええ、こうでもしなければ、うるさくてたまらないので」

飴色の木箱に、金の模様。そして縦横無尽に赤い紐が巻かれている。

―あの紋様の意味は、確か『封じ』だったな―

マカは心の中で呟いた。

「では最初にこの封印を解いていただけますか?」

「分かりました。ではちょっと下がっててもらえますか?」

カウンターを挟んだ2人は、一定の距離を取った。

カガミは手を組み、口の中で解除の言葉を呟き始めた。

ゆらりっ…

カガミの全身から、白く淡い光が立ち上る。

―やはりただ者ではなかったか―

マカは舌打ちをし、少し下がった。

やがてカガミの発する気が、箱に注がれる。

箱も白く淡く光り輝きだす。

やがて赤い紐がゆっくりと解けていき、箱の紋様も白く光りだした。

紋様は箱を離れ、模様だけになったが、白い光に解けて消えた。

そして、飴色の箱の扉がゆっくりと開き、中から現れたのは…。

『…やぁっと出られたぁ! 信じらんなぁい! 人をこんな所に封じ込めてさ!』

「あなたは人ではありません。生ける人形ですよ」

「っ!?」

「んなっ!?」

ソウマもマカも、思わず目を見開いた。

「おいっ! 今の声、誰だよ?」

「何かあったのか?」

店内の奥から、ハズミとマミヤが出てきた…が。

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