《MUMEI》

「ちょっとぉ。それはないんじゃない?」

さすがにマリーが止めに入った。

「こちらからは要求はしませんよ。そちらの考えで、貸しを返していただければ良いだけです」

「それはつまり…私達の意思で、お前に貸しを返せば良いということか?」

「ええ。今のところ、困ったことはありませんしね。今日は縁ができたということで満足しましたから」

そう言いながらカガミの足はすでに扉に向かっている。

「それでは、返される日を楽しみにしていますよ」

最後に笑顔を残し、店を出て行った。

「チッ! 喰えないヤツめ!」

「まあ良いではないですか。こちらの考えで良いと言うならば」

ソウマは笑みを浮かべ、マリーに近寄った。

「ではマリー、改めてこれからよろしくお願いします」

「ええ、よろしく!」

「ではウチのバイト2人に紹介したいと思いますので、どうぞ奥へ」

奥へ消え行く2人の姿を見送りながら、マカは深く息を吐いた。

「やれやれ…。また厄介ごとが増えた」

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