《MUMEI》
来日遅れのサンタ
.


隆之は俺に


ムービーのことが気になって

事務所まで調べたこと、

《多分》とは言ったけど事務所に確認したから

確かにアレは秀一って分かってたことを話した




「なんで、そんなに…」

「首突っ込むんだ…ってか?」







再び体育館の出口に出てみると


白が降ってた

大粒が、


ゆっくり。



俺がゲホゲホやってるうちにバレー部のメンバーも

他の部活の奴等も帰っちまったようだ。



俺と隆之は雪を見てる







「…なんでだろ〜な」

隆之が上を見たまま笑った



「…変なヤツ」

俺は隆之を置いたまま階段を降りて

雪の降る中に、ポケットに手を突っ込みながら踏み出した

ちなみに言うと

俺はドSだ

隠してるけど



ふとした時に出てしまう。






雪はまだ、積もってなかった






「…さむ」

ウインドブレイカーの襟に顔を埋めても
冷たい空気が首を刺す











後ろから足音が迫って来る



それはすぐに俺に追いついて


俺と歩調を合わせた









「…今年のサンタは」





急に肩に柔らかいものが乗せられて、歩みを止めた




「…プレゼントの袋が、金属探知のに引っ掛かって」



「…!」



その柔らかい何かが首を包んだ





「日本入り、少し遅れたらしいぜ」




「………」









肩越しに見た隆之は


下唇を噛んだまま、悪戯っぽく淡蒼の瞳を煌めかせて笑ってた
















首元のマフラー。






触れてみる








「…マジ…何なんだよお前…」


俺は再び前を向いて、歩き出した














その日のそんとき











十二月二十六日の

太陽はとっくに《今日》にサヨナラしてる時間に








「…あったけーんだよ…バカ」
















俺は何故か



目頭が熱くて。

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