《MUMEI》 「部屋は一人一人与えてやる。」 千秋様から鍵を渡された。 各々、部屋は離れている。 家具や調度品は物の価値が分からない人間にも分かるくらい良いものが使われている。 ぼくにはもったいない。 「タマ、いつまで荷物を置いている!」 千秋様の声が聞こえて、慌てて広間へ戻る。 言われた通りに全員ジャージに着替えて集まった。 合宿ということで、部活動らしく外へ行くらしい。 外……と言っても屋敷の裏山で、千秋様のお家の敷地内だという。 「今回の結果は偶然だった、つまりは調教が足りなかったということだ。今からボールを森へ投げるから自力で採って来い。」 千秋様は三つのボールをバラバラに投げ出す。 ぼくと志雄君、楠先生と螢さんは一歩踏み出すと同時に落とし穴に落ちた。 「この山には訓練用に罠が張ってある。 夕食までに見付けられなかったら夕食抜きだ。」 ぼく達は必死で穴から這い上がろうと爪先で跳ね上がる。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |