《MUMEI》

―プルルッ―


エレベーターに向かう瀧の携帯が鳴る。


「佐伯?どうした?」


『まだラボですか?』


「いや、今から上上がるとこだよ。」


『良かったです、もうすぐ真田さんが空港から到着します。所長から一緒に報告を聞くように、と伝言です。』


「了解、ロビーで落ち合って一緒に上がるわ。てか、着くのはえーな。」


『空港からアリーのスワローで直行です。』


「成る程な、了解って伝えといてくれ。」


『わかりました。』


電話を切り、エレベーターに乗り込む。


「火急の用件、ね。」


嫌な予感に囚われながら、瀧の指は知らぬ内に胸のペンダントのプレートをなぞる。


重苦しい感情を振り払うかのように瀧は軽く頭を振ってロビーに向かった。

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