《MUMEI》

―ポーン―


エレベーターの扉が開き、二人はそのまま所長室に向かう。


「お帰りなさい、ミツ、ご苦労様、瀧。」


いつもの笑みを浮かべた顔とは違い、真剣な面持ちで千影は二人を迎えた。


「真田只今アメリカ支部より戻りました。」


「急がせてすまなかったわね。とりあえず二人とも座りなさい。」


そうして二人に椅子を勧め、コーヒーを出すと、


「では早速報告をお願い。」

千影に促された後、チラリと瀧を見て、ミツは話始めた。


「…アメリカ支部の《保持者》が三名、SC捕縛の際に死亡、事態を重く見て本家本元の日本支部からの応援で俺が送られたわけだけど…。」


「目的のSCは捕縛も討伐も叶わなかった、と聞いてるわ。」


「………追い詰めて殺そう、とはしました。」

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