《MUMEI》

「みっちゃん失敗するとか、珍しくない?」


―ガスッ!!


顔は千影の方を向いたまま、ミツは瀧の腹部に肘鉄を喰らわせた。


「痛〜っ。」


本気で痛がる瀧をそのままにミツは話を続ける。


「そのSCには既に《保持者》が居ました。」


「違法契約者かよ。」


腹部をさすりながら瀧も話に加わる。

千影はミツに目線で先を促す。


「………これが…その場から去った違法契約者の、遠目だけど、写真と、現場に落ちてたもの、です。」


そうしてミツはずっと持っていた小型のアタッシュケースを開き、一枚の写真と一枚の黒い羽をデスクに置いた。

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