《MUMEI》
元幹部
「俺は黒澤将貴。

梧城さんとはどういう関係なんだ?」


「はい。

梧城組の元幹部です。」


「ふーん、なるほどな。」


右手の甲にチラリと見えた傷や、
先程からの異常な圧迫感に違和感を感じていたがようやく納得した。


恐らくまだ当時の面影が残って居るのだろう。


「だが梧城組の幹部になるほどの実力があったんなら、
何故俺を必要とするんだ?」


「はい、私はもう足を洗った身ですし、
何しろ立場上困難でして…。

梧城さんに願い出たところ、
貴方を推薦された次第です。」


「ふーん…。

と、言うことは俺の正体を知って居るんだな?」


「はい、梧城さんの息子さん…ですよね?」


将貴は思わず目を見開いた。


念には念を……ってことか…。


「ああ、そうだ。

で、そろそろ用件を聞かせてくれねぇか?」

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