《MUMEI》

『あーー良かった、
間に合いましたね』

にこやかに手を振り
ながら登場したのは
荷物を持つユウリ。


『『ユウリ先生』』

朱里と白は声を揃え
て言った。

『二人共、黙って行
くなんて水臭いです
ね。』

『『すみません』』

ハモる様に謝る二人
にユウリは笑った。


『朱里に、渡す物が
あるんですよ、ハイ
コレ…』

そう言って、朱里へ
と荷物を渡す。


『ユウリ先生、コレ
は?』

さほど大きくない紙
袋に包まれた荷物を
見ながら朱里は尋ね
た。

『救急セットですよ
旅先では必要でしょ
う?私の調合した万
能薬です。胃痛や腹
痛等に良く効きます
よ。あと虫刺されの
薬が入ってますから
…』

『わ、ありがとうご
ざいます、ユウリ先
生。』

朱里が笑顔でお礼を
言う。

『あ、それとコレ』

ユウリが懐から出し
た二つの薬。

『??』

『このビンの薬は、
体力回復剤で、ヤリ
過ぎた時に二粒飲ん
で下さい、で、こっ
ちのチューブ入りの
が、傷薬。後孔が切
れた時に塗って下さ
いね。どちらも私の
自信作で良く効きま
すよ。』

朱里は、ユウリの悪
気のない笑顔と言葉
に、嬉しいやら恥ず
かしいやらで苦笑す
るしかなかった。

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