《MUMEI》
どさくさに紛れて3
「…… クイーン」


朗先輩、かな


「よし!」

「ざけんな!」


…そんなに喜んだり、怒ったりする程の事か?


今、俺、男だし


恋愛感情無いし


『好き』じゃなくて『嫌いじゃない』なんだけどな


「それでも、嬉しいんでしょうね。

特に、クイーンは」


首を傾げる俺に、ジャックが話しかけてきた


「どうしても、クイーンは二番手のイメージがありますし」


なるほど


だから、あんなに喜んだんだな


「納得できねー!おいコラ!俺の何処がナルシーに劣ってんだよ!」


そんで、常にトップのキングはこんなに怒るんだな


「劣っているというより、単に好みの問題だ。

俺は、セフレを山ほど抱える人間は苦手だ」

「ナルシーだって一緒だろーが!」

「規模が違う。それに、俺がここに来てから、朗先輩は双子先輩しか相手にしてない。

けど、キングは違うだろ?」


お気に入りの相楽以外の学園のセフレや


外でも


「この街にも、セフレや一晩限りの相手がいるだろ?

そういうの、俺は嫌だ」


きっぱり言い切ると


キングは何も言わなくなった

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