《MUMEI》 担任教師「待ってたわよ! 随分と遅いじゃない! 校内で迷ったの?!」 …っのババァ!! なめんじゃねぇよ! と、殴りたいところだが、 今は優等生の黒澤将貴だ。 「いえ、校長先生と話し込んでしまいまして。 遅くなって申し訳ありません。」 怒りで震える手を後ろ手で隠しながら、 作り笑いで通した。 〜・*・〜・*・〜〜・*・〜・*・〜〜・*・〜・*・〜 だんだん機嫌を良くした先生は、 俺の入る教室へ向かう途中で自己紹介をした。 「私は田中さなえ。 古典を担当に教えているわ。」 なんだ、フツーに話せるじゃん。 そう思い始めた将貴の思考は、 無惨にも砕け散った。 「ちなみに独身よ。」 何故そこを強調する? ネックレスやら腕輪やら、 安物のブランド品を派手に着飾って、 かなりの厚化粧を見る限り大体は予想つくが…。 将貴は冷々とそんなことを思っていた。 前へ |次へ |
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