《MUMEI》

『…ね、白。』

朱里の老いてシワを
刻んだ手が僕の手を
握る。

『…何、朱里?』

美しい朱里の顔にも
刻まれた、無数のシ
ワ。

『もうすぐ、私の命
の灯は消えるでしょ
う。』

『え、嫌だ、朱里。
そんなコト、聞きた
くない。 』

朱里が子供を宥める
様に、僕の頭を軽く
叩く。

『ね、白。聞いて?
この身体は動かなく
なるけど私は死ぬん
じゃないんです、君
の、白の中に生まれ
変わるんです。』


『え?どう言うコト
?』


『君の中には私の遺
伝子があります。そ
の一つ一つの中に私
が生まれ、君の中を
満たすでしょう。
だから、白……』


…悲しまないで?


こうして触れ合う事
や見つめ合う事は出
来なくなるけれど…


『どうか笑顔で強く
生きて?君の中に私
がいつも居るから…
君が悲しめば私も悲
しい。君が泣けば私
も泣いています。』


…だから、白。

…生きて下さい。


…私も君の中で

…共に生きます。


…君が悲しくない様
に、君の心の中に愛
の花を咲かせてあげ
るから…

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫