《MUMEI》
布団の中
  
「先生、今日はどこか寄って帰られるんですか?」
「布団でも買おうかなと思ってね」

 克哉くんとの共同生活が始まってから二日目。

 引っ越してきたばかりの部屋には当たり前のように一人分の布団しか無かったので、今日は学校の帰りに近くの量販店に寄って、来客用の布団一式でも揃える予定だった



「なら僕も付いて行きます」
「別にいいよ」
「荷物持ちが必要じゃないですか?」
「…そうだった」

 家にあるバスタオルをかき集めても布団になるワケではないし、昨日は仕方なく克哉君と一緒に同じ布団で寝る事にした。

「でも…やっぱり必要ですか?」

 昨日の布団の中で彼は『枕が無いと眠れない』だとか『布団引っ張らないで下さい』とか何とか言いがかりをつけながら、どんどんこっちに近づいてきた。

「今回みたいな来客用にね、それに色々必要なんだよ」
「ふ〜ん…」

 俺は克哉くんに背中を向けて、色々あって疲れた身体を横たえながらウトウトしかかっていると、後ろから長い腕が回ってきてぴったりと身体を密着させてきた。

「僕も料理用の器具とか揃えたいです」
「あ、そう…」

 緊張する…と言うより、今はその暖かさに安心する。

 ここは大人らしく”こらっ!”とか”やめろ!”とか言えばいいと思うのだが、やっぱり睡魔と何故か感じる心地よさについ眠りかかってしまっていた。

「あと柔軟剤と…」
「柔軟剤って洗剤のか?克哉くん一人暮らしとか経験あったりするのか?」

 そんな彼の暖かな手が、僕のシャツの中に入ってくる。

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