《MUMEI》

だけど誠一の態度は私の予想の正反対だった

「だったらいつも俺といろ!」
やけに怒ったようなその顔は私を見つめていて

一瞬その言葉の意味がわからなくて私は目を丸くした

「え?私を守ってくれるの?」


「当たり前だ!これから俺が守ってやる!」


その言葉は今も心に残ってて
私の宝物


その時私はあまりに嬉しくて泣き崩れたのを覚えてる

どんなにいじめられても出なかった涙を初めて見たいじめっ子達は驚いていた

でもバカな誠一は
「ちょ、泣くなよ!俺が悪いみたいじゃないか!」

と顔を赤くしてたっけ


「ありがとう」

私が言うと

「それは俺の台詞だ」
誠一はわけのわからないことを言ったけど
今はわかる

あれが私達の始まりで誠一の告白だったんだよね
だから誠一は私にありがとうと言いたかったのかな

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