《MUMEI》

2月。


1年生の教科書を終わらせた授業は、専ら復習プリントの消費の日々。


ぼーっとしてたら、あっという間に時間なんか過ぎて行って、刺激の無い毎日にうんざりし始めていた。







つい、この間までは。






いつからかは憶えていない。




プリントをさっさと終わらせて、クラスメートがガリガリとペンを走らせる音を何気なく聞いていた。



ふと気付いた。



いつも通りのはずなのに、なにか違和感。

皆のペンの音が、遠い様な近い様な変な感覚。

眠いのかと思ってみたけど、眠気とは違う確信。

自分だけ空間から隔離されたような不思議な状態。







はじめの頃は、ビックリしてキョロキョロしたりして、すぐにそれから抜け出していた。

おそらく、随分前から気付いていなかっただけで、それになっていたような気がする。



気が付いてから1週間で、これにも耐性がついてしまい、状態を保ったまま『これは何なんだ…』と考える余裕すら出て来ていた。




そして、そんな違和感を異常事態だと確信する決定打が起きた。

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