《MUMEI》 ブラックジョーク 2「おはようございます!」 「オハヨー」 これから夏になる。薄着の季節。慣れた東京ではない。ここはニューヨークなのだ。 マキは若い女性として、常に警戒心を持っていた。 白衣を着たアイは、イスを回転させると、マキのほうを向いた。 「マキ。英語はどこで覚えたの?」 「あたしが赤ちゃんのときから、母が英語のテープを聴かせてくれてたみたいで、自然に覚えました」 「いいお母さんね。アクセントがナチュラルよ」 「あ、ありがとうございます」マキはニコニコした。 アイもつられて一瞬微笑む。 「マキ。きょうはここの実験室で半日働いてもらうわ」とドアを差す。 「はい」 「部屋の中は45度。蒸し風呂よ。だから男は海パン一丁」 「嘘」 「女の子もビキニで働いてるわ」 「そうなんですか?」マキは驚いた。 「服なんか着たってすぐ汗びっしょりかいちゃうから。いちいち着替えてらんないしね」 アイは意味ありげな目でマキを見た。 「マキも水着に着替えて」 「え?」マキは焦った。 「どうしたの。恥ずかしいの?」 マキは困った。唇を噛み、おなかに手を当てる。 前へ |次へ |
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