《MUMEI》
オランウータン 2
「いいから。水泳は得意?」
「…別に、得意ってほどでもないですけど」
「全く泳げないわけじゃないよね?」
「はあ、まあ」
「川でワニに出くわしても逃げきれるくらい?」
「どんな達人ですか?」マキは呆れた。
「ワニはジョークよ。マキちゃん木登りは?」
「苦手です」即答。
「じゃあ、暑さに強い?」
「弱いです」
「タフでしょマキちゃん?」
「根性なしですよ。ひ弱なお姫様だから」
「ハハハ。あなたもジョークがわかってきたわね」
「ジョークじゃないんですけど」
カラカラ笑うアイをマキが見すえる。
「実はね。マキに頼みたいことがあるのよ」
(ほら来た)
マキは押し切られまいと身構えた。

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