《MUMEI》
オランウータン 4
「アマゾンの奥地でね。日本語を話すオランウータンが目撃されたの」
アイは真剣な表情だが、マキは笑いながらソファの背もたれに寄っかかった。
「まさか」
「あたしも信じ難いと思ったけど、目撃者が複数なのよ。で、日本語で、今は何世紀だって聞いたって」
どうせ人面犬の類の話だと思い、マキはまじめに考えなかった。
「マキ。面白いと思わない?」
「何がですか?」笑顔で聞くマキ。
「何がって、今何世紀かって聞くってことはよ。未来から来たってことでしょ?」
「デマか聞き間違いですよ」
アイは笑顔のマキが気に入らない。
「日本人はロマンがないわね」
「ありますよ!」マキはむきになって否定した。

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