《MUMEI》 オランウータン 5「じゃあ、まじめに考えなさいよ」 アイに睨まれたらあとが怖い。ドッキリで仕返しされたら困るので、マキは姿勢を正した。 「アイさんはどうするつもりですか?」 「もちろん調査に行くのよ」 「調査?」 「だってウチのチームの研究テーマは、タイムスリップは可能かってことでしょう?」 「はい」 「そのオランウータンがもしも本当に未来からやって来たとしたら、最高の研究材料でしょう」アイの目が危ない。 「でも、アマゾンですよ」 「アマゾンが何?」 「何もなかったら大赤字ですよ」 「そんなことないわ。カメラ回してドキュメントにすれば売れるわよ」 マキは、焦った。 「研究調査ですよね。商売もするんですか?」 「軍資金を確保しないで戦は起こせないわよマキ。国家というのは、いつ国民を切り捨てるかわかんないんだから」 「シビア」マキは呟いた。 前へ |次へ |
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