《MUMEI》
オランウータン 6
アイは夢を語りまくる。
「万が一本当にオランウータンが出没したら、あたしたちは億万長者よ」
「あたしは、お金儲けのために研究室に入ったわけじゃありません」
「キレイごとはなしよ。研究にはお金がかかるんだから。お金がいらないなんて大嘘つきは、あたしは信用しないわ」
アイの目が怖い。マキは仕方なく折れた。
「わかりましたよ。アイさんに従います」
「山分けしましょう」
「あたしは、必要なだけお金があればいいです」
「日本人とは思えないセリフね」
いちいち引っかかる言い方だ。
「アイさん、日本人を誤解してません?」
マキが真顔で反論する構えなので、アイは交わした。
「マキ。今のあなたには欲とロマンと責任が必要なのよ」
「何ですかそれは?」
「だって、冒険には欲とロマンと責任が必要でしょ?」
段々雲行きが怪しくなってきた。

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