《MUMEI》
オランウータン 7
「冒険?」マキの声が不安で小さい。
アイはマキのグラスにワインを注いだ。
「あなたが勇敢で優れた感性を持った冒険者だということは、あたしがよく知ってるわ」
「ハイハイ」
「オランウータンは日本語で話すのよ。あなたは何人?」
「ぷっ!」マキはワインを吹いた。「ちょっと待ってアイさん」
「マキにすべてがかかってるの」アイはマキの両手を取った。「この研究室の命運が、いや、そんな小さいもんじゃない。日米の未来が…」
「かかってません、かかってません!」マキは激しく否定した。
「あなただけが頼りよ。マキしか日本語喋れる人いないんだから」
「そこですか」
マキは逃げ道を探した。アマゾンの奥地は荷が重過ぎる。

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