《MUMEI》

「………冷静になりなよ?」

「わかってる…。」


「わかってない。」


俯き膝の上で拳を握ったままの瀧に、隣から足を組み、片方の肘を着いたミツが話しかける、


「あいつは正攻法じゃ何とも出来ない、従ってお前一人にどうこう出来るもんでもないの、わかってる?」

「俺だって強くなったし…」

「聞き分けないこと言わないの、向こうだって確実にランクS連れてんだから。」

ミツは返答せず、俯いたままの瀧をチラリと横目で見ると、


「………あんなこと誰にも予測出来なかった、お前のせいじゃない。」


瀧がミツの方を見ると、ミツ自身は瀧の反対側に顔を向けていたため、表情はわからない。


「サンキュ…」


フッ、と笑ってそっぽを向いたままの友人に礼を言う。


「別に。」


返ってきた返事は相変わらずぶっきらぼうだが何処か優しく感じた。

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