《MUMEI》
8人のタフガイ 5
「ビリーはなかなかのハンサムガイよ。レディには優しいから」
「はあ…」
アイはチョコレートを口の中に放り、ワインを飲みほす。
美人でセクシーだけど荒っぽいしぐさ。絵になる。
「マキ。あとはアニマルとホークで8人」
「どうしても8人必要ですか?」マキが不安な顔色で聞いた。
「なぜ?」
「だって、出身地不明な人なんかと船乗るのは、危ないですよ」
「ああ、アニマルとホークは大丈夫。あたしのフレンドだから」
「ボーイフレンド?」マキが目を見開く。
「恋人じゃないよ」
「アイさん恋人は?」
「マキは恋人は?」切り返す。
「あ、えっと…」
「いないか」
「悪かったですね」マキはアイを睨む。
「バカね。フリーってことは、これからの出会いに夢と希望が膨らむ、いちばんロマンチックな時じゃん」
「まあ、はい」
いきなり正論を言われ、マキはかしこまった。

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