《MUMEI》
荒くれ男 4
「次はここよ」アイは車を止めた。「いつもこの店でダベってるわ」
マキはノートをめくる。
「どなたですか?」
「何それ?」アイはノートを覗く。「185…190。数字しか読めない」
「ハーリーとマードックの身長や特徴ですよ」
「日本語で書いてんの。ヤらしい」
「へへへ」マキはふざけた。
「次はビリーとダスティよ」
マキはノートを見ながら言った。
「ビリーはイギリス紳士。188センチ、118キロ。レスリングのコーチ」
「凄い」
「ダスティはダンサー。187センチ、137キロ。合ってます?」
「研究熱心ね」
「研究員ですから」
「デブのくせに踊れんのって聞いたことが抜けてるわ」
マキはノートを閉じると睨んだ。
「一言も言ってません」
「ククク。言っちゃおう」アイが白い歯を見せる。
「言ったらあたしも言います。ビリーは技で人を殺せるって」
車から出かかったアイが運転席に戻り、マキの腕を優しく握った。
「お互いやめようね」
「アイさん次第です」
二人は笑顔で車を降りた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫