《MUMEI》
荒くれ男 7
店を出て車に乗り込むと、アイがすかさず言った。
「マキ。みんないい人でしょ?」
「いい人?」
「きっと優しくしてくれるわ。マキは性格もルックスもかわいいから」
マキは反論した。
「押し倒すなんて、日本ならセクハラですよ」
「厳しい国ね」
「厳しくないです!」マキは怒った。「あれ、アメリカってその方面では進んでるはずですけど?」
「何、アメリカが日本より進んでる?」
「言ってません。セクハラに関してです」マキの顔が怖い。
「まあ、アメリカは日本と違ってレディファーストの国だからね」
「日本と違っては余計な一言です」
「ハハハ」アイは楽しそうだ。「次はフランクとスタンよ」
マキは渋々ノートを広げた。
「フランクはコラム二スト。198センチ、135キロ。スタンは高校教師。195センチ、135キロ」
「この二人は無二の親友よ。あたしとマキみたいな」
「つまり、他人ってことですね」
真顔のマキに笑顔のまま硬直するアイ。

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