《MUMEI》
荒くれ男 8
「次は忙しい二人だから、連絡取らないと」アイは携帯電話を出した。「別に今までの4人が暇人ってわけじゃないよ」
「暇に見えましたけど」
マキのイヤミを無視して、アイは電話で話した。
「ハロー」
アイが通話中にマキはノートを見た。これから合うフランクは198センチ。相当大きい。
「助かるわ」電話を切ったアイが笑顔で言う。「スタンの家にフランクもいるわ」
「はあ…」
アイは車を走らせた。
「もっとテンション上げて。スタンは陽気なテキサンよ」
「でも、日本人は意味もなく笑顔で変だって、アメリカ人が」
「基本的にセンスがないのね」
「ちょっと!」マキはムキになる。
「怒らないの」
「アイさんだってアメリカ人の悪口言えば怒るくせに」
「ニューヨークでアメリカ人の悪口? 言ってもいいよ」
「言いません」マキは小さくなると、話題を変えた。「フランクさんは、コラム二ストですよね?」
「仕事ができる優秀な男よ。しかもジェントルマン。怒るとチェーンで首絞めるからね」
マキは唇を噛んだ。
「スタンも優しいわよ。短気だけど」
唇を噛みながら目を見開くマキ。
「まともな人いないんですか?」
「フランクはミステリアスなところが魅力よ」
「ミステリアス?」
「知的で紳士だけど、モンスターなの」
「頭痛が…」マキは頭を押さえた。

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