|
《MUMEI》 それでもやっぱり綺麗好きなドイツだけあって、管理はされているようでいつもですっきりしている。 近くにも同じように原っぱの中に子供が遊べるような遊具があって、そこも同じようにキチンと清掃されていた。 ここドイツはどこへ行ってもゴミが無くて、克哉さんも気が付くといつも楽しそうに掃除をしている事があった。 こっちの人達って掃除が好きなのかもなぁ…。 「アキラしゃん、のど乾いたぁ〜ムヒテ トゥリケン！（何か飲みたい）」 「あ、はいはいちょっと待ってね」 遠出する時はいつも水筒か何かを持っているんだけど、今日はそういうものを持ってきていなかったので公園の側にあったカフェに歩いてった。 「アインアインス シュテュック ”キーバ” ビッテ（”キーバ”を一つお願いします）」 道に面したカウンターの所でこの前くるみちゃんに教えてもらったチェリーとバナナのジュース”キーバ”というものを頼むと、公園で遊ぶくるみちゃんを眺めながら携帯をチェックした。 （用意が出来たら、電話が来るんだよね…） 克哉さんが”用意が出来たら連絡する”と言っていたから、さっきからというもの待ち遠しくてついついチラチラと画面を見てしまっていた。 そういうせっかちな性格がいけないんだろう…せっかくこっちに来たんだから、日本の時の事を忘れてのんびりしなきゃなぁ…。 「ダンケ（ありがとう）」 「ダンケ トゥース（ありがとう、じゃあね）」 出てきたジュースを受け取ると、見ていた携帯を胸ポケットの中に入れてこっちを指をくわえながら見ていたくるみちゃんに笑顔で手を振った。 蓋になっているビニールにストローで穴を開けて差し出すと、くるみちゃんは僕の手をギュッと掴んでまるで赤ん坊のように飲んでいた。 前へ |次へ |
|
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |