《MUMEI》 「5分…??…え、ちょっと時計見せて…」 「時計は狂ってないよ。多分。見せてみろ…」 村上は、俺が隣の席の生徒から時計を見せてもらおうとしているのを止めて、プリントを勝手に取り上げる。 クラス全員が問題を解くのを止めて俺たちのやりとりを見てくる。 「…あってるな」 「…」 しばらくプリントの解答を読んでいた村上はぼそっとつぶやく。 「これだけの文字を開始5分で書いた…か。。」 村上は何か考えるような顔をしながら、俺にプリントを返すとゆっくり黒板に向かって歩き出す。 「やっぱ雅俊すげー。。」 「おれ、まだ一文字も書いてないんだけど」 「ってかうちの高校より良い学校入った方よかったんじゃね?」 「普段のプリントは時間の半分くらいかかってるのにね。」 「何、あんた授業中雅俊君のこといつも見てるの?」 「えー、だって、大体私が解くの諦めた辺りで、いつもペン置いてるの見えるから何となく知ってるー。諦めたらプリント見てるより周り見てる方面白いし。」 「こらこらw」 「…今日は難しくて、うっかり本気出しちゃったんじゃない?」 微かにクラスメイトの皮肉めいた会話が聞こえてくる。 「よし!」 黒板の前に着いた村上が振り返りながら大きな声を出す。 「答え合わせするぞー。まだ終わってないヤツも赤ペン出せー。」 「…はぁ??」 「鬼!」 「ちょっ、雅俊お前空気読めよ!」 「どうせ俺たちになんか解けなかったんだから同じだろ。」 村上が解説を始め、比較的仲の良いクラスメイトから冗談めいた(恐らく本気では怒っていない)罵声を浴びせらる。 ――渦中の人物「明智雅俊」は未だ固まっていた。 『あんなに余計なこと考えたり、ミスってたの直したりしたのに5分?? ……いつものあれ…なのか?』 前へ |次へ |
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