《MUMEI》

私がドアを開けた時
愛一郎さんと隆くん
は無言で見つめ合っ
ていた。

《うきゃぁぁ…っ》

心の内に悲鳴を上げ
て、腐のアドレナリ
ンを脳内に分泌する

…何、何?意味あり
げに見つめ合っちゃ
って…恋に堕ちた?

『ん、萌子。どーし
たの?』

コーヒーを乗せたお
盆を持ったまま、ボ
ーッと突っ立ってい
る私に愛一郎さんが
声をかけた。


『ね〜ちゃん…』

何故か、脱力した様
に隆くんが私を見る

『??』

『僕、帰るね。』

訳が解らない私の横
を通りながら隆くん
が私にボソリと囁い
た。

『ね〜ちゃんも色々
と大変だよ、まぁ頑
張ってよね、あっ出
戻りだけは勘弁して
ね…』

『は…え?ちょっ、
ちょっと隆くん、そ
れってどう言う意味
?…』

隆くんの後ろ姿に声
をかけながら、愛一
郎さんをチラ見した
ら…

『クスッ…』

口元に手を宛てて、
何やら苦笑している
様子。


『??』

な、何なの?何なの
よ、もおっ!二人だ
けの秘密ってか?

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