《MUMEI》

「きゃー!きゃー!シャンたしゃ〜ん!!」

くるみちゃんは克哉さん…もといサンタさんの元に駆け寄って行って絶叫しながら文字通り飛びついていった。

「おっと…い、いい子にしてたかなι」

モサモサする衣装に戸惑いながら、いつもくるみちゃんにされるように身体を登られて、顔を隠しているヒゲを取られないようにふんばっていた。

(やっぱり克哉さん…恥ずかしいんだ…)

サンタさんの格好をしている克哉さんは顔を白ヒゲで覆っていてあまり見えないけど、いつもの克哉さんからは想像できないくらい耳を真っ赤にさせて恥ずかしがっている様子が見えた。

(何て言うか…可愛いな…)

本人に言ったら怒るかもしれないけれど、たまに克哉さんの事を可愛いと思う事がある。

そういえば克哉さんは、日本で言えば大学を卒業したばかりの新入社員くらいの年齢だ。

かく言う僕も学生ぐらいなのだけど、あの人と一緒に居たあの時に、精神的にも10年くらい一気に年を取ってしまったような、そんなカンジがした。



「くるみ、いい子にしてたか…///」
「ありえ?おりえの名前知ってりゅの!お昼のシャンたしゃんは間違えたのに!」

サンタさんに抱っこされたくるみちゃんはギュッとその胸に抱きつくと、克哉サンタさんの肩に頬を寄せながら嬉しそうに何度もその顔を見上げていた。

きっと可愛いんだろうなぁ…というような様子で、克哉さんは愛おしそうにくるみちゃんの頭を撫でていた。

「くるみ、お部屋を見てごらん…」
「お部屋〜?」

そう言われ、くるみちゃんを抱っこしたまま克哉サンタさんが部屋に入っていったので、その様子を見に僕らも後を追ってくるみちゃんの部屋を覗きに行った。

「ん〜何、シャンたしゃん……うわぁ///」

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