《MUMEI》

そこにはさっきトリスタンさんが持ってきてくれたあのタンスみたいな大きなドールハウスが綺麗にパッケージングされていて、子供部屋の真ん中にドーンと置かれていた。

くるみちゃんはサンタさんの腕から下りると、大きなプレゼントの前で立ち尽くし、扉の前にいる僕らの方を伺うように見上げていた。

「大きいの〜…開けていいの?」

やっぱり自分の身長より大きなプレゼントに驚いたのか、包装紙を手で触りながらモジモジしている。

「どうぞ、くるみ♪」

僕らの後から来たトリスタンさんがそう言ってにっこりと笑うと、くるみちゃんはホッとしたような顔をした。

「遠慮するな」
「ダンケ!ありがとう♪キャッ///」

皆にいいよと言われて安心したのか、くるみちゃんはその場でジャンプをすると、プレゼントの周りを回り始めた。

(慎重な性格みたいだけど…やっぱり包装紙を派手にビリビリするのかな?)

よく、外国の子供の風景で見るような…派手に包装紙をビリビリ破く姿を想像していたのだけど、くるみちゃんはプレゼントの後ろにあったリボンの結び目を器用に解いて丁寧に包装紙をはがしていた。

「あはは///日本人だなぁ…くるみちゃんは」
「へぇ…日本の子供ってこうなの?こんな子供は初めて見たわ〜ι」

トリスタンさんは今回初めてくるみちゃんとクリスマスを過ごすようで、くるみちゃんは元より、こんな子供の姿を見るのは初めてだったらしい。

「くるみは前からだいたいこんなカンジだぞ」

そう言うと克哉さんも包装紙はがしを手伝ってあげていた。

大きな皮がめくれるように包んでいた紙がベロンとはがれていくと、その中から立派なドールハウスがだんだんと姿を表してきて、くるみちゃんの目がもの凄く大きく見開かれていった。

「あ〜っ!!中に〜おりぇとミニョンなの〜///」

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