《MUMEI》

「話を続けても良いが、お前は大丈夫か?また今度の方が…」

「聞きたいことも聞けないまま、もやもやして午後の授業なんか受けられませんよ。だいぶ落ち着きましたから。」

「ううーん…」

「大体、こんな状態にしたのは先生なんでしょ?責任取って下さいよ。保健室に行って、一緒に説明してくれるんですか?」


山男は尚更困った顔をして頭をかく。


「いやぁ、保健室かぁ…それはきついな…いや、しかし、俺のせいなのは半分だ。あ、半分は俺の短慮が悪い。本当にすまなかった。」

「先生が半分って、残り半分は俺のせいって言うんですか?」


まだ完全に身体の調子が戻って来ていないため、口調は弱々しかったが、それでもわずかな怒気を含ませて山男の言葉に反発する。


「違う。明智は何も悪くない。」

「??」

明智の怒気に気付いたのか、それとも違う理由があるのか、山男は急いで明智の言葉を否定する。

「…さっきのは、善彦に俺がされたことの再現だよ。」

「兄さん?兄さんもあの状態作れるのか?いや、状態じゃおかしいか…今までは俺だけの感覚だと思っていたけど、間違いなく、さっきのは先生が一緒にいたし、先生が作り出していた。。空間?って言った方が正しいのか…」

「やはり結構アレに入り込んでいるのか…」

「あんなにはっきりしたのは初めてですけどね。今までは外に意識を持っていくだけですぐ途切れていたし。」




「…詳しい話をしよう。ちょっと長くなるかもしれないが。。昼休みは、あと20分か…。。ソウの中に入っても、明智がまだ耐性付ききっていないしな。」

「ソウ?」

「さっきの…空間っていうか…あの現象の事だよ。ソウの中だと、大体時間が5倍になるから、単純計算で1時間半位は確保出来るんだ…」

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