《MUMEI》
アニマル 9
アイは白い歯を見せた。
「知りたい?」
「え、アイさん年齢知ってるんですか?」
「あたしが言ったってこと内緒にできる?」
「できます。あたし口は固いですよ」
「どれくらい?」
「風船より固いです」
「じゃあ教えられない」
「ダイヤモンドより固いです」
「ダイヤで殴っても口切れないんじゃ、囲まれたって怖くないじゃん」
「無駄な時間過ごすのやめにしません?」
「キャハハハ!」アイは明るく笑うと、答えた。「ホークは28。アニマルは24よ」
「若い!」
「日本人の24が子どもに見えるでしょ?」
マキはムッとした。
「今度日本の悪口言ったら許しませんよ」
「ジョークよジョーク」
マキは思った。アニマルと4歳しか離れていないというのは嬉しい。
「ホークとアニマルもタメ口でしたね?」
「窮屈な上下関係は暑苦しいでしょ。どっかの国みたいに」
「自由過ぎて、目上に対する言葉遣いが乱れるのも良くないです」
「センスの問題ね。バランス感覚が大事よ」
「アメリカこそナンバーワンって態度って、どうですかね?」
「日本こそ我が国が世界一と思ってるでしょう?」
マキから折れた。醜い争いは無意味だ。
「あたしは、世界市民だから」

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