《MUMEI》
アニマル 10
マキは一人、自宅でデスクに向かっていた。
インターネットでオランウータンのことを調べては、ノートに情報を書き込んでいった。
少しでもオランウータンの生態を知ることは大事だ。いざというときに役に立つかもしれない。
彼女は研究熱心だった。
「肉食獣じゃないのか。良かった。あ、待てよ」
人間語を話すオランウータン。マキは猿の惑星を思い出した。
捕まって絶対服従を迫られたら怖い。こういうとき断然女は不利だ。
マキは首を激しく振った。
「ないないない!」
マキは、アニマルの顔を思い浮かべた。逞しい筋骨。バイオレンスヒーローのような迫力。雰囲気。
「……」
腕も太いが神経も太そう。それでいて、絶対守ってあげる。そんな優しい言葉もかけてくれた。
「24歳かあ」
マキはパソコンを消すと、ノートを閉じた。
ゆっくり立ち上がり、伸びをすると、すました顔で服を脱いだ。
生まれたままの姿になったマキは、バスルームで熱いシャワーを浴びる。
スリムでセクシーなボディ。見事な脚線美。
マキは瞳を閉じても、アニマルのワイルドな風貌が浮かんだ。
「ふう…」
胸に新しい気持ちが芽生えていく。久々に味わうときめき。
「ヤバいかも」

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