《MUMEI》
フェル
「学校と言う集団に憑いて、学校と言う集団を見守る…フェルって実際何やってるんですか?」

明智はフェルに特別興味を持ったわけでは無かったが、山男が一番初めに話さなければならない内容に出てきたフェルは確かに覚えるべき事なのだろうと質問をした。

「フェルはサプリしか知らないから、詳しくは知らないが、フェルの力が大きければ大きいほど、その集団は大きくなるし、小さければ大きくなれない。
で、その集団を守っている限りは、集団として成り立っているが、フェルの力が弱まれば、自然解散する。らしい。」

「フェルの事を知っていても、サプリ以外のフェルを知らないんですか?」

「あぁ、見たことも感じた事も無いな。
多分、俺と善彦の仲を取り持ってくれてるフェルってのもいると思うんだけど、そいつが諦めない限りは、俺と善彦は友達として連絡を取り合ったり、たまに会ってメシ食ったりするんだと思う。
逆に、フェルが諦めたらそこまで。
フェルも、人間とは言えないけど、心や思いを持った生命体だから。」

なんだか凄い事をさらっと言った山男に不満を持って、明智は顔を歪める。

「えぇ…なんか人間関係操られてるみたいでシャクなんですけど。」

「いや、だから聞いた話だって。類は友を呼ぶ。って言うだろ?あれもフェルが絡んでいると思えば納得出来るし。
クラスのフェルも、さすがに1年で諦めるようなのはまず、フェルとして使命を受けないはずだし、1年以上経っても諦めなければ、そのクラスは集団として成り立っていることになって、例えば同窓会とか、クラス会とかが、自然とされるんじゃないのか?逆に、フェルが諦めてしまえば、集団としては解散したことになるから、クラス会とか開かれもしない。」

「先生、高校の頃からそうやって周りの集団を見てきたんですか…」

「んー。善彦と会うとなんだかんだでそう言う話になるからな。偏って世界を見ているかもしれない。実際、そう言った小集団のフェルに会って話を聞いた訳じゃないから、憶測の域は出ないんだけどな。」

山男はそう言って困った顔で笑う。恐らく困った顔が山男の笑顔なのだろう。

「それって、クラスに馴染めてなかったり、友達いないヤツには酷い推論ですよ?」

「それは、本人とその集団しだいだから。フェルは関係無いよ?」

「えー…」

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